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「それで、――どうかね?」
「やあ、今晩は」
その「含有量」といふ言葉は富田が昨日聞き覚えたばかりのものだつた。
その粗暴な外見とは反対に、徳次はさういふ血生臭ちなまぐさいことが嫌ひだつた。そして、人並外れた敏感さを示すのであつた。今もそれで、彼はいかにも心外げな様子を、その無意識な仕草の中に現していた。
「何しに来た!」
「はい」
「眼が潰つぶれちまふ――ねえ、先生」
「ほう、往診かね」
「うん、何かア」
「どうですか、掛りさうかね」
「なに?」
だが、それがこの土地には縁がなく、遠い四国のことだと知ると同時に、彼の興味は消えてしまつた。彼は又、「あん」と小莫迦にした風に頭を下げて、わきへ行つてしまひかねない時の徳次にもどつていた。そして、今泉も話すべきことはもう話してしまつた。彼は次の聴手を探す必要がある。
今泉にはやつと徳次の考へていることが判つたので、熱心に説明した。